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夢うさぎ
夢の心理学 感想2020年09月25日 

著者:鑪 幹八郎
「心の宇宙を探検する 夢の心理学を読みました。

さっぱりとした読み心地で、睡眠の仕組みから夢分析の方法、
考え方まで、満遍なく学べる良い本でした。
とても読みやすくて面白かったので、同じ著者の他のご本も読みたいなぁと思いました。

始めは、生理的な現象としての夢についてをしっかり書かれていました。
寝ている時、夢を見ている時、肉体に何が起こっているのかとか、そういうお話です。

現代ではレム睡眠時(眼球が動いてる浅い眠り)に夢を見る、というのは、
わりと多くの人が知っているところですが、この事実が分かったのは、ほんの偶然の出来事だったそうです。

なんか脳波のパターンがある気がする
→この時、眼球も動いとるわ
→もしかして他の人にも当てはまるパターン?
→実験してみよう

という、たまたま脳波の計測と研究をしていた過程で思い付き、発見したそうで、
何がきっかけで研究が進むかわかったもんじゃないなと思いました。笑
こういう科学的なところの根本的な話からはじまって、
今度は動物も夢を見るのか、という話も始まりました。

この、動物は夢を見るのか、のきっかけになった博士の話が面白くて、
ワニは夢を見るのかという疑問から始まって、(なんでワニなんだ?)
仲間の研究者同士で真剣に夢について話し合う、という状況がとても羨ましいなと思いました。笑
本題の夢自体のお話以外にも、こういった発見や考察のきっかけになった
出来事も楽しそうに書いて下さっているのが、この本の良いところだなと思いました。

話は戻りますが、その動物の睡眠時にも、レム睡眠があれば、その時に夢を見ていると仮定して測定したようです。
結果、爬虫類や鳥類は、ほんの少ししかレム睡眠が現れず、夢を見ているかは怪しいという結果でした。
まぁ、ノンレム睡眠でも夢を見ているらしいし、
夢は見ているかもしれないけど、とても他の生き物に比べて少ないかもしれないと。
結局、いくら調べても、ちゃんと夢を見たかどうかは、
見た者の意識の中にしかないので、そこだけは調べようがないのが、なんだか神秘的ですよね。

・・・

あと、後半の方には、正しい夢のメッセージを
受け取るための夢分析のコツが書かれておりました。
これは、心理学をメインにする方面だと、みんな同じような内容です。
でも、すごくわかりやすく書かれていました。
キーワードの項目別にするとどうしても夢占いっぽくなってしまうし、
かといって夢の例を出して解釈を羅列するのも、分かりにくい。

こちらの本は、2つの良いとこ取りのような書き方をしていました。
飛ぶ夢、死ぬ夢、など分かれてはいるのですが、
統計的にこういった事を示している事は多いが、
その夢の出来事の前後に何があったか、
どんな感情やストーリーがあったか、を、どの項目でも書いています。
具体的な夢の例をあまりつけると、かえって具体的すぎて自分の中のイメージに落としにくいので、
こういった、曖昧だけれど、道しるべになるような書き方は、とても良いと思いました。
夢占いのように、きっちりとした意味を入れているわけではないですしね。

・・・

こういった感じで、「夢」に関連する基本や面白い豆知識を、手広く伝えて下さる、良書でした。
平成2年発行と、そこそこ古めですが、とてもよい、楽しい本だと思います。

でも、夢分析をまじめにやろうとして本を購入したりすると、
どうしてもこういう、研究者の方の文章ものが多いです。
この本はすごく敷居低いけど、それでも敷居がどうしても高いなぁと感じています・・・
なんか、この辺をイメージ的に柔らかく伝えたいなぁと考えています。
サイトでも載せたいですが、同人誌でも作りたいですねヾ(:3ノシヾ)ノシ